チャレンジカップへの挑戦がいじめ克服の契機に(写真右がS君)。

「7つの習慣J」、そしてM先生という心の支えを得たことで少しは自信がついたからなのか、高校に進学してからS君はあからさまないじめを受けることがなくなった。ただ、いつも一人でいることは変わらない。「またいじめられてしまうのではないかと思うと、友達づくりで頑張ろうという気にはなりませんでした」とS君は振り返る。

そして、2年生になったS君はM先生からチャレンジカップへの挑戦を勧められた。これは自分で決めた目標に挑戦する大会で、対象となる小学生から高校生まで毎年4000人以上もエントリーし、発表された内容の評価に応じて賞が与えられる。参加に何らためらいを感じなかったS君だが、肝心なチャレンジする対象をなかなか見つけられなかった。

「M先生から『チャレンジは自分がどうしても解決したいものを克服するためにあるんだよ』といわれて、友達づくりが浮かびました。でも、踏ん切りがつかずに何週間も悩みました。するとふいに『僕はいつまで友達のいない人生を送るつもりなのだろう』『この状態にピリオドを打つのはいったい誰なんだろう』という思いが頭の中をよぎったのです」

Y君から受けた初めての相談

友達をつくるという目標をS君自身が選択した瞬間だった。それは「自分が選択する」という第一の習慣の実践でもあった。そして第二の習慣である「終わりを考えてから始める」ことに取り掛かった。S君は「いきなり10人だとハードルが高そうなので、2人の親友をつくることを目標にしました」という。

まず話しかけようと考えた相手は中学校のときの同級生のY君。しかし、いざ声をかけようとしても、言葉が口から出てこない。「『何だよ、うるさいな』といわれたらどうしよう」といった不安ばかりが先走ってしまう。1週間ほど思い悩んだ後、勇気を振り絞って「何やっているの」と声をかけた。すると「鏡を見ていたんだ」と返事があった。それまで心臓がバクバクしっぱなしだったS君にとって、そのY君の対応は嬉しいというよりも驚きだった。「いじめを引きずっている僕に答えてくれた……」。そして、人気の「遊戯王」のカードのことなどを無我夢中で話した。