人生の後半生に幸せを感じながら生きるためには何が必要なのか。高齢医療の専門家・和田秀樹さんは「大事なのは“かくあるべき思考”を棄てることだ。『まだ貯金を崩すわけにはいかない。あと5年がまんしたら旅行に行こう』と考えても、5年後には旅行に行けなくなっているかもしれない」という――。(第3回/全5回)

※本稿は、和田秀樹『幸齢者』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

「勝ち負け」で考えない

これから、つらく、がまんしてばかりの「高齢者」から、人生の後半生に幸せを感じながら生きる「幸齢者」になるために、次の「マインドリセット7カ条」を実践することが必要です。

第1条 勝ち負けで考えない

まずは、勝ち負けで考えないことです。

人間は、何かにつけてつい他人と比較してしまいます。そのうえ、他人に負けたくないという気持ちがあるものです。

でも、勝ち負けでものごとを考えていたら、人間は学ぶことができないという一面があることをわかってください。

砂時計
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答えは1つではないと知る

「これを認めたら負け」という価値観にのっとって相手の意見を否定し続けると、人間関係は確実に悪くなります。加えて、視野が狭いままに人生を歩まざるをえなくなります。

勝ち負けにばかりこだわって偏狭な考えにおちいることは避けましょう。そうではなく、ぜひ、年をとればとるほど、「答えは1つではない」という考え方を持ってほしいと思います。

いろいろなものを受け入れることによって、年をとればとるほど知恵者になれるわけです。自分の考えを変えない以上は、年をとってもそれ以前より賢くなることはないのです。