「5年後」が思い通りになるかはわからない

世間を騒がせた「老後2000万円問題」ではありませんが、高齢者や高齢者の前段階の方々が不安に思っているほど、将来経済的に苦しむことはないと思います。「老後の蓄え」を取り崩したくないためにお金を使わず、必要以上の節制に励む。そんな必要はありません。

そのお金を使っていまを楽しむことが大切なのです。「まだ貯金を崩すわけにはいかない。あと5年がまんしたら旅行に行こう」と考えても、5年後には旅行に行けなくなっているかもしれないわけです。

いまは元気な高齢者でも、突然、脳梗塞になって、明日から要介護になったりすることもあります。転んで骨を折ったら、若いころと違って治りが悪く、ずっと歩行が困難なままということもあります。

「5年後を楽しみに」と思っていても、その5年後には、体の状況がかんばしくない可能性があるということを、念頭に入れておかなければなりません。

「いま」を楽しむ

ですから、これからは次のことを合い言葉にしてください。

第4条 いまを楽しむ

いま楽しめることはいま楽しんでおかないと、あとで楽しめなくなることがある。そういう覚悟を決めることが、年をとってからは必要です。

若いころであれば、「いまはがまんして頑張れば、あとからいいことがある」と思う人のほうが、将来成功することも多いでしょう。でも、年をとってからは、もうそうじゃないよね、ととらえていいと思います。いま楽しんでおかないと損――そのようにマインドリセットしましょう。