もし、わが子が警察に捕まったらどうすればいいのか

もしわが子が被害者ではなく加害者になったら、親として何ができるのか。少年事件を数多く手がける中村勉弁護士は、こうアドバイスする。

「真っ先にやってほしいのは弁護士選び。少年事件にかぎらず、重大事件を起こして逮捕された直後の48時間は、身内でも面会ができません。それ以降も身内の面会は時間制限があり、情報不足になりがちです。その点、弁護士は自由に面会できます。また事件直後は、加害者やその身内と顔を合わせたくないという被害者がほとんどですが、弁護士なら話を聞いてもらえる可能性があります。ご両親の謝罪文を届けたり示談を進めることで被害者の処罰感情がやわらぎ、被害届が取り下げられて少年院送致を免れたケースも実際にありました」

鑑別所に収容されている間は面会に行くことも可能だが、中村弁護士はほかにできることも多いという。

「家裁調査官の面談に積極的に協力して、警察や検察が注目していない事実についてお話しすることです。警察や検察は少年の悪いところしか調書に書かないので、しっかりしている部分や真面目な部分についてはご両親が話さないと裁判官に伝わらない。いいところもきちんと報告し、公平な判断をしてもらうべきです」

もう一つ、中村弁護士が強調するのは、非行を未然に防ぐ努力をするということ。「私の経験上、非行の要因として家庭環境は無視できません。被害者が死亡するような重大事件に限定すると、43%の少年が父母のいずれかを欠いた環境で育っています。親が甘いのもダメ。非行事実に対して親が毅然とした態度を示さないとエスカレートします。わが子が学校で暴力事件を起こしたとき、子供と一緒になって先生を批判している親御さんがいましたが、あれでは増長して、もっと大きな非行に走る可能性があります」

今後、少年法は変わる可能性があるのか。厳罰化の方向はさらに進むのか。後藤教授は「改正される余地はほとんどないでしょう」と見通しを語る。