GAFAMをはじめとする米国株は今後どうなるのか。エコノミストのエミン・ユルマズさんは「米国株には買われすぎの兆候がある。特にGAFAMは決算もさえず、対話型AIの登場がどう影響するかも未知数」という――。(前編/全2回)
※情報は5月22日時点のもの。
パッとしないGAFAMの決算内容
GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の決算(2023年1~3月期)はパッとしない内容でした。盤石と言えるのはマイクロソフトだけではないでしょうか。
グーグル(アルファベット)は、売り上げが前年同期比+2.6%、営業利益が同じく-13.3%。クラウド事業が黒字化し、事前のエコノミスト予想は上回ったものの、前年同期比では減益に終わっています。
アップルは売り上げが前年同期比-2.5%、営業利益が-5.5%と減収減益。iPhoneは予想より好調でしたが、PC「Mac」販売は前年同期比-31%と大きく減少しています。
フェイスブック(メタ)は売り上げが前年同期比+2.6%、営業利益が-15.2%と、営業利益の大幅減少が目立っています。メタバース関連事業の赤字が収益性の足を引っ張っています。
アマゾンは売り上げが前年同期比で+9.4%、営業利益は+30.1%。大幅に増収増益となりましたが、昨年は通期で最終利益が赤字に転落しており、その反動で大幅に増益しているとも考えられます。
決算が悪くても株価が上がるカラクリ
このようにGAFAMの決算はあまり良くありませんでしたが、株価は上昇しています。
GAFAMなどハイテク銘柄が集まるナスダック100指数は、23年年初より約25%も上昇しています。アメリカがインフレ対策として利上げを行っている中、驚異的な上げ幅と言えるでしょう。
決算がさえないのに、なぜ株価が上がるのでしょうか。
実は、これにはウォール街の「カラクリ」があるのです。