日本と欧米の決定的な差

例を挙げると、代表的なツールがセールスフォースです。セールスフォースとは、セールスフォース・ドットコム社が提供するクラウド型のビジネスアプリケーション。営業活動の最適化や業務効率化を目的に、顧客管理や営業管理などの情報管理で活用されています。

セールスフォースを導入すれば、セールスパーソンは、どの会社に入社しても同じツールを活用して働くことができます。その会社特有の仕組みをイチから覚えなくても、前の会社でやっていたのと同じようにセールスの仕事を継続できるわけです。極端にいうと入社した翌日から即戦力として働けるため、必然的に労働生産性が高まるというわけです。

モダンなオフィスで笑顔の人たち
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日本では、1社で働き続ける人が比較的多く、OJTを通じて仕事の仕方をじっくり教える時間的な余裕があります。つまり、あえて労働生産性を上げる必要性に迫られることなく、業務が回るという状況が成立してきました。そんな背景をもとに、ここ30年あまりの長きにわたって、働き方に大きなメスを入れるのを避け続けてきました。

1980年代にトヨタを中心に日本の製造業が世界の頂点を極めたところまではよかったのですが、その成功体験に味を占め、仕事の進め方や、組織、教育といった分野にほとんど手を付けることがないまま今日を迎えています。国としても、失業者が少なかったこともあり、転職者をサポートするような効果的な施策を行なってきませんでした。就職や転職に向けて知識や技能を学ぶための職業訓練校のような場はありますが、活用があまり進んでいないのが現状です。

仮にトヨタのような影響力のある企業が新卒一括採用をやめれば、状況は大きく変わるかもしれません。大企業に就職したい学生は引き続き存在するので、それに対応して大学の教育方針が変わる可能性があります。トップレベルの大学が変われば、高校教育が変わり、日本人の職業観が一変するかもしれません。とはいえ、それが実現するには、少なくとも今後20年近くの時間を要するでしょう。

今現在、企業でバリバリ働いている中堅以上の社員の働き方には、ほとんど影響がないと考えられます。だから、今この記事を読んでいる社会人は、自分でいち早く働き方を変えていく必要があるのです。