厳しい決断のもとでも相手が枯れない配慮をする
こうした経緯を踏まえると、ビジネスに求められる根回しのプロセスも見えてきます。
ガーデニングでは移植の前に環状剥皮して樹木に刺激を与えます。ビジネスの根回しも同じで、まずはこれから起きることを告知して、新しい空気に触れさせる必要があります。
ガーデニングの場合は環状剥皮のあとに元の場所に埋め直して、細根が生えてくるまで放置します。ビジネスも同様で、告知したあとは相手の準備が整うまでじっくり待つプロセスが必要です。
事前に告知して新しい環境を実感させ、元の環境に戻して、対応時間を与える。こうしたプロセスを経ることによってインパクトが和らげられ、物事がスムーズに進むようになります。
ガーデニングの根回しに手間と時間がかかるように、ビジネスの根回しにもそれなりの手間と時間が必要です。それが組織のスピードを鈍らせるという意見もあるでしょう。しかし、根回しにかかる手間や時間は、人を活かすために必要なムダです。根回しなしで進めてまわりを枯らせるやり方が、組織に良い成果をもたらすとは思えません。
ビジネスでは、ときに相手に衝撃を与える厳しい決断を迫られることがあります。
そうした決断のもとでも、相手が枯れてしまわないように最大限に配慮する。その具体策が根回しなのです。
※『ビジネススキル・イノベーション』第2章 時間と感情のロスを減らす(プレジデント社刊)より