「ペット信託」などで引き取り先を決めておく

ペット信託を提供しているのは信託銀行や行政書士法人などなので、受託者が契約を履行しているかを信託監督人が監督するしくみもあり安心できます。

ペットは相続財産ではありませんが、何の準備もせずに亡くなってしまうと、ペットの世話をする人が誰もいないという状況に陥る可能性もあります。自分の老後の生活を癒してくれた大切なペットのためにも、ペットの引き取り先は元気なうちに決めておきましょう。

信頼できる人と「死後事務委任契約」

自分でできることはすべて自分でやるという責任感の強い人でも、死んだあとのことはさすがに自分ではできません。おふたりさまの場合も、最終的にはどちらかがおひとりさまとなります。死後のさまざまな事務を元気なうちに誰かに頼んでおくことが大切となります。

曽根恵子監修『子のいない人の終活準備』(扶桑社)
曽根恵子監修『子のいない人の終活準備』(扶桑社)

そのために利用したいのが「死後事務委任契約」です。死後事務委任契約とは、死後の葬儀の手配や家の後片づけ、年金や健康保険の脱退手続きや医療費等の精算など、死後に発生する諸手続きや故人の身辺整理を、第三者に代行してもらう契約です。

誰に頼むかは自由です。親族でも友人でもかまいませんが、死後は契約相手の行動を監督することはできません。信頼できる人に頼みましょう。ただし、遺産の分配や銀行口座の解約など、死後の手続きには専門的な知識が必要なものもあるので、弁護士や司法書士などの専門家に頼むのがベターでしょう。専門家に頼む際には、十分に打ち合わせをし、委任できるかなど見極めて進めるようにしましょう。

この契約は当事者の合意のみで成立し、契約書の取り交わしは必要条件ではありません。しかし、死後に何をしてもらいたいかを契約内容に逐一記し、代行してもらう対価も決めておかなければならないため、契約書を作成したうえで公正証書にしておくべきでしょう。

認知症になってしまうと契約を交わすことができなくなるので、必要な方は、元気なうちに検討しておきましょう。

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