人生の終わりに向けて準備する「終活」という言葉が一般的になってきた。結婚をしない「おひとりさま」や、子どものいない「おふたりさま」は、どのように終活すべきか。相続実務士の曽根恵子さんの監修本『子のいない人の終活準備』(扶桑社)より、一部を紹介する――。
飼い猫に顔を寄せる男性
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終活作業①:プラス財産とマイナス財産の整理

終活作業で早めにすませておきたいのが財産の整理です。自分の所有する財産が、どこにどれだけあるのか把握し、パートナーや親族と共有しておくことで、相続など亡くなったあとの手続きにかかる手間を大幅に軽減できます。

財産とは、現金や預貯金、有価証券、不動産のほかに、美術品や自動車、家電などの耐久消費財も対象となってきます。借入金やクレジットカードの未払い金、未納の光熱費・税金などはマイナスの財産となり、相続された財産から差し引くことで精算できます。

こういった財産を整理・集約するうえで、まず取りかかるのがリストアップ作業。最近ではインターネットやガイド本で目録のフォーマットを手軽に入手ができるので、プラスの財産とマイナスの財産を思いつくままに記入して内容を洗い出していきましょう。

重要な情報は身辺整理を頼む人に伝えておく

これらの財産は有事の際にすぐ使える状態にしておくことが重要です。そのためにも預貯金通帳や届出印、生命保険証書などは所在を明らかにし、金庫に入れているなら鍵の保管場所や解錠方法も身辺整理を頼む人を決めて伝えておきましょう。

キャッシュカードの暗証番号、ネット銀行やネット証券のログインID、パスワードも同様に知らせておきます。銀行口座は用途に応じて複数作ることがよくありますが、このタイミングで不要なものは解約しておくことが望まれます。不動産の売買契約書は売却時の税金の金額に大きく影響するので、必ず見つけておきましょう。