IDやパスワードをエンディングノートに記す

こうしたデジタル遺品の多くは、IDやパスワードを入力しないとアクセスできないため、本人が亡くなると、残された人は困ります。法定相続人が手続きするにも、金融資産の全貌がわからないと、相続できないこともあります。また、有料のサービスで定額制や月額制などの場合、解約手続きをしないと死後もお金が引き落とされていきます。

こうした事態を避けるためにも、生前にデジタル遺品の種類と、それぞれのIDやパスワードを遺族がわかるように準備しておく必要があります。エンディングノートなどに書き留めて、利用していないサービスがあれば、生前に整理しておくようにしましょう。

デジタルデータの中には、誰にも見られたくないものもあるでしょう。見つかりにくい場所にフォルダを移動させたり、自動でデータを消去してくれるアプリを導入するなど、対策をとっておきましょう。

終活作業③:家族の一員、ペットをどうするか

家族の一員であるペットも一緒に年を重ねていきます。ペットのほうが人間より寿命は短いとはいえ、自分の老後にきちんと世話ができるかどうか、また万が一ペットを残して自分が先に死んでしまうことに不安を持っている方も多いのではないでしょうか。

ペットは一人では生きていけません。ペットを飼うなら、ペットの人生にも責任を持たなければならず、自分に万が一のことがあったときのことを考えて、生前にペットのための準備をしておくことも大切なことです。

考えられる最善の方法は、自分の死後に信頼できる親族や友人などに引き取ってもらうことです。タダで引き取ってもらえればそれに越したことはありませんが、ペットの飼育料を渡しておけばより安心です。

そこで利用したいのが「ペット信託」というサービスです。これは、ペットを引き取ってもらう人(受託者)と生前に契約し、ペットの飼育料金を信託財産として預けるしくみです。そして、ペットの面倒をみられなくなったり、自分が亡くなったときに受託者に信託財産とペットを引き渡すことになります。