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1人のリーダーが“正解”を押し付けるのは健全な民主主義ではない

マクロン大統領の年金改革案には、僕も賛成です。従来の年金制度は持続可能ではありませんし、労働生産性向上の観点でも必要な判断だったと思います。日本でも現在、年金支給開始年齢は65歳ですが、将来的には70歳へ引き上げることも必要だと僕は考えています。マクロン大統領は“正解”を導き出し、実行したと言えるでしょう。

ただし、そのやり方がまずかった。いくら正解でも、人々の“納得感”が得られないまま強硬に進めれば、人心は離れます。特にバカンスや定年後の生活を心待ちにしているといわれるフランス国民にとって、年金の受給開始が遅くなり、しかも納付期間は延びるという事態は耐え難いことでしょう。全力で阻止したくなる気持ちもわかります。加えてその決断が、“ザ・エリート大統領”の独断で決められたと感じてしまっては……。