文系学生など「ポテンシャル採用」のチェック指標

もちろんどこの会社も欲しがるIT・デジタルスキルやデータサイエンスに必要な統計学の知識など専門性を持つ学生は、専門性のレベルをチェックすれば即採用が可能だ。

しかし、とくに文系の学生などのポテンシャル採用のチェックは簡単ではない。各企業も学生を選ぶチェック指標をベースに見極めようとしている。

住宅メーカーでは1次面接は20代後半から30代前半の主任クラスの社員が15分間面接する。面接担当者に与えられたチェックポイントは、

① 会社の理念に合致しているか
② チャレンジ精神があるか
③ 最後までやりきる力があるか
④ リーダーシップはあるか

などの項目について○×△で評価することにしている、1つでも×があると2次面接には進めない。2次は課長クラスが同じやり方で面接し、絞っていく流れだ。

ある食品会社は次の3つの指標だ。

① 学び続ける力を持っているか
② 経験に基づく思考ができるか
③ 当社で成長できるか

それぞれ学生の答えと面接担当者がどう感じたのかについて報告してもらい判断しているという。しかし、こうした抽象的な評価指標だと、面接担当者の感情が入り、どうしても相手の印象に左右されやすい。

リクルートスーツに身を包み、面接に臨む女性
写真=iStock.com/Promo_Link
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同社の人事担当者は次のように語る。

「面接担当者に学生との会話の内容を文字に書き起こして判断することを実践している。口頭で聞くと、おそらく自分の感情が入り交じった曖昧な内容の評価になってしまうが、客観的に文字化したものであれば、感情というノイズを極力排除できる。書かれたものを最終的に人事と役員でチェックしている」

ただし面接ですべてを見極められるわけではない。多くの企業は評価指標に「協調性・チームワーク力」を入れているが、協調性は面接ではわからない。5人か10人でチームを組んで何かを一緒にやらせてみて、どういう動きをするかを見る方法もあるが、短時間で見極めるのは相当難しい。

そもそもいくら研修をしても普通の社員にアセスメントの能力があるわけではない。どうしても自分に近い考えを持っている学生が良く見えてくるものだ。最後は自分の好き嫌いで判断してしまう傾向がある。

前出の住宅メーカーの人事担当者はこう告白する。

「個人的には面接という手法はそろそろ限界かなと思っている。採用直結型のインターンシップが増えているが、採用の中心がインターンシップに流れていくのは自然の流れだと思う」