所有権付きマンションも同じ問題を抱えている

もちろん、一般的なマンションでも同様の問題がある。

土地と同様に建物の所有権も永久だが、建物は永久には住めない。一般的には12年程度で大規模修繕を行い、寿命を延ばす対策がなされているが、いつかは建て替えの必要が出てくるだろう。その時に管理組合で建て替えに必要な法的な合意を得るのはたやすいことではない。

タワーマンションの高額な修繕費用が話題になっているし、立体駐車場の老朽化は管理組合が時限爆弾をかかえているようなものだという指摘もある。建て替えにはマンション区分所有者の5分の4以上の同意が必要だが、なかなか同意が得られず、建て替えが難しいという現実もある。

そういった煩わしさが面倒だと思う立場からすれば、期限が決まっていて解体してしまう定期借地権付きマンションのほうが良いという考え方も当然ある。この点をPRする販売会社もあるが、借地権の期限が迫ってくればいろいろ問題が生じる可能性がある。

高層ビルと川がある都市の風景
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「地主の承諾」がなければ売却できないケースも

見逃されがちなのが「地主との関係」だ。

マンション購入者は地主と50年~70年の長期借地契約をすることになるが、その地主は、不変ではない。個人だったら相続などで所有者が代わることもあるし、法人でも売却により所有権が移転する場合も考えられる。

もちろん借地期間中、借地権は法的には保証されているが、定期借地権付きマンションを売却する場合は「地主の承諾」を必要とし、承諾料を取られる場合がある。

「地主の承諾」は他のシーンでも必要になる。新たな購入者が住宅ローンを組む場合、金融機関がマンションに抵当権を付けるが、この時に金融機関が「地主の承諾」を求めることがある。地主の態度は未知数だ。特に地主が代替わりしている場合、新たな地主の意向は不明だし、もし相続で揉めているような場合にスムーズに承諾を得られるのだろうか。

マンション販売会社は、販売したあとの地主と購入者間の契約には無関係の立場になる。50年以上、地主との法的関係が円滑にいく保証はない。また地主側にとっても、もし200戸のマンションだったら200人を相手にすることとなる。面倒がる地主だったらなおさら問題が生じるかもしれない。

こうした不安もあって、販売会社が地主から一括で借り上げ、定期借地権を購入者に「転貸」する転借地権方式をとる定期借地権付きマンションがある。購入者にとって貸主は地主ではなく販売会社となり、販売会社がこれをPR材料にしているところもある。