増え続ける「定期借地権付きマンション」
都心のマンション価格が上昇を続けている。不動産経済研究所の調査では、首都圏の新築分譲マンションの平均販売価格は、2021年に6260万円となりバブル期を超え、2022年は6288万円で2年連続の過去最高を更新した。東京23区の平均価格は8236万円となった。
庶民にとってはやはり高い。一般的に住宅価格の目安としては年収の5~7倍と言われているが、東京カンテイの調査では、2020年の新築マンションの年収倍率は東京都で13.40倍である。マンションは高嶺の花と化している。
そこで注目を集めているのが、相場価格から2~3割程度安いとされる「定期借地権付きマンション」だ。
2022年2月21日付の住宅新報が東京カンテイの調べとして報じている。記事によると、三大都市圏での供給戸数(竣工ベース)が2017年に1001戸と7年ぶりに1000戸を超えて以降、19年1283戸、20年1932戸、21年は減少したものの、22年は再び1464戸となった。売り出しベースでは22年まで4年連続の増加だという。
土地の安い郊外に移り住む動きも出ているが、都内の便利な立地を最優先にしたい消費者も多い。不動産に掘り出しものはないとされる中で、比較的安価なこのマンションが増えているのだ。
しかし注意が必要だ。安いのには必ず理由がある。
定期借地権付きマンションはなぜ安いのか
定期借地権付きマンションとは、「借りられる期間があらかじめ定められた借地権」の付いたマンションだ。普通借地権と異なり更新がなく、契約期間が終わった土地は地主に返すことになる。更地返還が原則であり、建物は取り壊さなければならない。
普通借地権では借地人(借りる側)の権利に重きがおかれている。借地期間終了後には、借地人が希望すれば契約を更新できるため、地主はいったん土地を貸してしまうと、簡単には返してもらえない。