宅地になることを想定していない分譲地だった
古い航空写真や登記簿を確認する限り、昭和40年代、この場所は山林だった。
田んぼをつぶして開発されたものではないようなのだが(地目は原野だった、昭和39年地目変更)、いずれにしろ水田地帯のど真ん中であるという事実に変わりはなく、そこにつながるまともな道路も造られず、およそ宅地としての利用など想定されていない。
分譲地までの道路は未舗装のあぜ道だが、分譲地の中だけは舗装されている。
区画数は合計で12区画。2023年4月現在、この分譲地の区画はすべて、草刈業者による管理なども入っておらず放置されている。そのため、刈り取られることもない雑草が舗装道路にまで侵食してきていて、一見しただけではそこが分譲地であるとはわからない。
前述のようにこの分譲地は、その開発前の時点で既に水田としては利用されておらず、地目も原野であった。しかし、四方を水田や沼地に囲まれたこの立地では、地盤が強固であるはずもない。
分譲地の周囲を見渡せば、造成時に築造されたらしき土留めはゆがみ、沈下しているのが肉眼でも見て取れる。降雨後は、周囲は沼地のように水がたまる。何一つ建物が建てられていないのに、すでに地盤沈下が始まっているのだから、こんなところに家屋を建てたらどうなるか、結果は明らかである。