日本企業がまずやるべき4つのこと
こうした状況の中でまず日本企業が実施するべきことは以下の4つであると考える。
1) CIOからCMOへ
日本のトップのCEOは営業で辣腕をふるっていた人は多いが、マーケティングが強いとは言えない。しかもこれからのマーケティングはITと連動している。こうした競争戦略をIT投資を進めながら実現するためにはマーケティングとIT両方の重要性を理解している経営者が必要である。しかし、これまでのCIOはITの専門家という側面が強い。これから必要なのはCIOではなく、ITを活用し企業内のデータ流通を全体最適するグランドデザインを描ける人材である。それはCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)と呼ぶにふさわしく、CIOが変革できないのであれば、CEOは自分がそうなるか、もしくは新しい人材を外部から迎えなければいけない。
http://blogs.itmedia.co.jp/speedfeed/2010/02/cmo-2bce.html
2)縦割りの打破の第一歩としてのデータの共有
大きい企業になればなるほど企業内には縦割りという大きな壁がある。広報、宣伝、ブランド管理、営業、生産、流通がそれぞれ別々の予算で顧客コミュニケーションに関する業務を組み立てている。さらに日本企業の場合はコミュニケーションの企画提案は広告代理店に依頼し、情報システムの企画提案をSIベンダーに依頼するなど、外部リソースの使い方も縦割り的である。すぐに壊せと言うのは簡単だが難しいだろう。そのためますはマーケティングを日々の業務に活かすために顧客コミュニケーションに関わる様々なデータ(Webの閲覧状況、顧客の声、CGMのデータ、店頭での行動データ等)を管理できるプラットフォームを全社横断的に整備するところからスタートすることが望ましい。ECによるダイレクトマーケティングを展開するための部門横断的なプロジェクトチームを通じて展開するのもあるだろう。コミュニケーションバリューチェーンは全社的な視点が何よりも重要であり、社員一人一人にそのイメージを共有してもらう仕組みを用意することが必要となる
3)指標の見直し
売上はもちろん大事であるが、その手前にコミュニケーションの指標管理が大事である。売上につながるコミュニケーションプロセスは可視化されるようになりつつある。商品別売上、店舗別売上という売上指標以上に顧客とのコミュニケーションプロセスにより向上していく顧客ひとりあたりのLTV(顧客生涯価値)を指標として重視していくべきだろう。これまでは店舗に来る顧客を把握することもコミュニケーションすることもできなかったが、今後は店舗に来店した顧客を知ることもコミュニケーションすることも可能になる。具体的に指標を変えて成功した事例としてはドクターシーラボがある。それまでのチャネル別の売上管理から顧客の一年間の購入回数、継続率に全社指標を変えたことでコールセンターをコストで見るのではなく、接客と見るようにしたり、店舗でその時買わなくても、あとでWebで購入してもよいというような接客の仕方に変えたことで業績を回復させることができた。
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2011/10/post-954.html
4)まずやってみる
ITを活用したマーケティング環境は進化も早い。ソーシャルメディアにしてもリスクはある。しかし、未知のことはやらなければ経験はできない。何よりもデータが取れない。新しいマーケティングはデータを取得することで様々な判断が可能になる。まずはデータ収集のための実験ぐらいの感覚で試行はするべきだろう。何よりも投資も以前に比べればそれほど大きくは無い。
大企業はそう簡単には変えることはできない。しかし、経営者が決断し、社員一人一人がそう思える仕組みを作ることで流れを変えることはできる。文句を言っていてもはじまらない。明日からできることをやるべきだろう。