マイホームと賃貸、どちらを選んだほうがいいのか。嘉悦大学教授で経済学者の髙橋洋一さんは「もともと土地がないという人は、賃貸のほうがいい。不動産価格の変動リスクを考えると、いまのうちに持ち家を売却してローンを返済し、賃貸に住み替えるのも一案だ」という――。
※本稿は、髙橋洋一『円安好況を止めるな! 金利と為替の正しい考え方』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。
「駆け込みローン」を煽る不動産会社
「低金利時代もあとわずか! 金利が急上昇する前に住宅ローンを組みましょう」
読者のなかには、念願のマイホームを建てたいという人もいるだろうが、その際にこうした不動産会社のセールストークを鵜呑みにして契約すると、大変なことになる。
そうならないためにも、ここでは住宅ローン金利について正しい知識を身につけよう。
住宅ローンには固定金利と変動金利の2種類があり、債務者はどちらの金利プランで返済するかを選ぶことができる。一般的に固定金利はそのときどきの長期金利になるが、変動金利は短期金利に連動するといわれている。
金利の動向は株式と同じで、将来の読みでだいたいが決まる。ただし、自分の読みが世の大勢と似ているかどうかは微妙なところだから、そのあたりを加味して考えたほうがいい。世間の標準的な読みを見抜くのがポイントになる。
変動金利と固定金利、どちらがお得か
とはいえ、もし筆者が「これから35年ローンで住宅を買う際、変動金利と固定金利どちらがいい?」と質問を受けたとしても、確実にどちらが有利という話はできない。
現在の経済状況が続くと仮定したら、「どちらがより利払いが少なくなるか」ということくらいは言えるが、前提が崩れたらその話も崩れるからだ。
変動金利のデメリットとしては、将来景気がよくなったときに金利が上がることだ。そのときに自分の収入がそれに応じて上がれば、変動金利でも大丈夫だろう。
ただ、景気に応じて自分の収入が上がるかどうかはわからない。なぜなら世間は景気がいいが、自分の会社は業績が悪いということだってあるからだ。