「フルタイムで働く」と考えただけで体が震え動悸が
夫も何とかしたい気持ちはあるようです。妻に「このままではいけない。家族のためにも働かなくては」といったことを焦りの感情とともに伝えてきました。その一方で「家族を支えるためにはフルタイムで働く必要がある」といった考えにとわられていました。そして「フルタイムで働く」ということを考えただけで、体が震えてしまう、動悸が激しくなる、夜よく眠れなくなってしまうといった症状が現れてしまうのだそうです。
ある日、夫は涙を流しながら妻に訴えかけてきました。
「今の自分の状態ではとてもフルタイムで働くことはできない。短時間の仕事なら何とかなるかもしれないけど、それでは収入が月に10万円に届くかどうか……。そんなんじゃとても家族で生活できない。もうダメだ、おしまいだ」
預貯金は退職金を含め600万円ありますが、将来を絶望視している夫は就労に対して前向きになることもできず、身動きがとれない状態に陥ってしまったそうです。
そこまで語った妻は、ハァ~ッと深いため息をつきました。それはまるで胸の内にある不安を吐き出しているかのようでした。
「もし夫がこのまま就労できずに無収入となってしまったら、今のような生活はできないと思っています。しかし生活費を見直すと言っても限界があります。何かこの状況を変えるような方法はありませんか?」
夫の状況がある程度把握できた筆者は、次のような提案をしてみました。
「ご主人がフルタイムで働くことが難しいようであれば、障害年金と短時間就労の組み合わせで生活費を確保する方法も検討してみてはいかがでしょうか。ご主人はそのご病気で初めて病院を受診した日が厚生年金に加入中(会社員の時)とのことなので、障害厚生年金を請求することになります」
「仮に障害厚生年金がもらえたとすると、いくらぐらいになるのでしょうか?」
「障害厚生年金の金額は、ざっくりいうと今までの給料やボーナスの金額を基に計算されます。ご主人の今までの平均年収(初任給から現在までの平均年収)が分かれば、大まかですが試算することは可能です。それでもよろしいでしょうか?」
「はい。だいたいでけっこうです」