「上ずみ液」は捨てずに食べたほうがいい
なぜヨーグルトに血糖値を下げる作用があるのか。
「ヨーグルトは、牛乳などのミルクに乳酸菌や酵母などを添加して発酵させた食品です。乳酸菌は乳糖を分解させて“乳酸”という物質を作りますが、これに胃の消化分泌ホルモン(ガストリン)を抑える作用があります。すると胃から送り出すスピードが落ちる、結果的にゆっくりと小腸に移動するので糖の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇を防ぐのです」(八木氏)
「また、もう一つ理由が考えられ、ヨーグルトの上ずみ液(ホエイ)中に含まれる成分に、消化管ホルモンのインクレチンに働きかける作用があります。インクレチンはインスリンの分泌を促進するので、血糖値が下がるのです」(八木氏)
ホエイには、糖化を抑制する作用があることもわかった(B図)。固まっている部分(カード)と同じくらいの栄養素もあるため、上ずみ液は捨てずに混ぜてから食べよう。
「乳酸菌を取り入れる」こともできる
さてヨーグルトを食べることは血糖値を下げ、糖化現象を抑えて老化を防ぐほかに、近年ブームになっている「乳酸菌を取り入れる」ことにもなる。体に有用な腸内細菌(有用菌)は年とともに減ってくるので、ヨーグルトやチーズなど乳製品、味噌や醤油、ぬか漬けなどの発酵食品に豊富に含まれる乳酸菌を取るといいのだ。腸を良い状態に整えれば、感染症の予防、肥満防止や血管年齢の若返り、肌の状態が良くなるなどメリットが多くある。
発酵食品を食べると、発酵食品中に存在する乳酸菌、その菌によって作られた代謝物質、もともとの栄養成分と、3つの良いものを摂取できる。中でもヨーグルトは機能別に選べることがメリット。「血糖値上昇抑制」や「内臓脂肪を減らす」「免疫力強化」などの機能がパッケージに表示されているので、それをもとに商品を選ぼう。
乳酸菌に詳しい第一会最高顧問の後藤利夫医師は「乳酸菌を摂取する場合、作用は大きく2つに分かれる」と話す。
「ひとつは胃や小腸で働くことで免疫力などを高めるタイプ、もう一方は大腸で働き腸内環境を整えるタイプです。整腸作用や美肌効果を得たいなら大腸に棲み着いているビフィズス菌の摂取を。便秘などによって腸内環境が悪化すると、腸内では腐敗物や有毒ガスが発生します。これらが腸の粘膜の毛細血管を通して全身にまわってしまうのです。ビフィズス菌を含むヨーグルトを食べて有用菌を腸内で増やせば、便秘が解消し、肌トラブルなども改善しやすくなるでしょう」
ただし、機能性をうたう大半のヨーグルトは2週間程度食した試験に基づいて商品化しているので、最低でも2週間は摂取しないとその効果は判定できない。