一方的にしゃべり続ける顧客へはどのように対応すればよいのか。人材育成コンサルタントとして、ハラスメント行為者へのカウンセリングを専門に行う松崎久純さんは「くだらない話を続ける顧客の相手など、多くのビジネスパーソンにとって当たり前。それは仕事の一部に過ぎない。そう考えることができる人には、そのエキスパートとして、優秀な聞き手を目指すことをお勧めします」という――。

一方的にしゃべり続ける顧客にうんざり

一方的にしゃべり続ける顧客にうんざりしています。よく食事に誘われ、ご馳走してくれるのはいいのですが、毎回、長々と仕事に関係のない話をされ、ほとほと嫌になっています。話を聞くのも仕事とわかっていますが、今時こんなことあるのでしょうか――30代の会社員の方からのご相談です。

昔も今も変わることなく、実に多くの人が、取引先の人を相手に、仕事と関係のない話を延々としています。

営業のように顧客との関係を構築するのが担当業務であれば、どんな話でも徹底的に聞くのが仕事です。それがイヤとなると、顧客と直接的に接する仕事では、今後も同じ苦痛がつきまとうでしょう。

耳に指を入れているチンパンジー
写真=iStock.com/sfmorris
※写真はイメージです

他の人が話し始めると「ふ~ん」と生返事

こういう私も相談者の方の気持ちはよくわかります。

私も受注のためなら、トコトン話を聞くタイプですが、一方的にしゃべり続ける人は、大抵の場合、相手の話に関心を示すことはなく、気持ちのよい会話は成り立たないからです。

たとえば、「先日の地震が起きたときに何をしていましたか」と尋ねると、その際の様子を詳細に話し出す人がいます。

最近この質問をして、話が長かったのは、「勤務先の高層ビルから階段で下へ降りることになったが、途中で一緒に降りていた人とはぐれた」というエピソードからはじまり、その後の移動の様子を事細かに語った人でした。

しかし、感情をたっぷり込めた様子の再現が終わり、他の人が「私は、あのとき横浜にいました」と話しはじめると、その話にはまるで関心を示さず、そっぽを向いていました。

他にも、地方から遊びに来ていた家族が、帰りの長距離バスに乗り込んでいたが、結局バスが出発しなかったという学生も、ノリノリで長い話をしましたが、やはり他の人が話し出すと、「ふ~ん」と生返事をするだけで、目の前の食べ物に集中していました。