プロパガンダ報道は限界にきている

ウクライナ戦争長期化の中で、ロシア各地で謎めいた爆発事件や火災が頻発し、今年に入って20件を超えた模様だ。

ロシア側はウクライナの特殊部隊によるテロを警戒するが、反プーチンを標榜する正体不明の組織が犯行を名乗り出たケースもある。

モスクワ郊外のノヴォ・オガリョヴォでビデオ会議に参加するプーチン大統領=2023年4月20日
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
モスクワ郊外のノヴォ・オガリョヴォでビデオ会議に参加するプーチン大統領=2023年4月20日

ロシアでは昨年以降、オリガルヒらエリート約15人の怪死事件も続く。昨年は凶悪犯罪発生率やアルコール消費量も増加した。

プーチン政権は愛国教育やプロパガンダ報道を徹底し、国民の洗脳に躍起だが、ウクライナ侵略戦争が次第に社会をむしばみ、世相が悪化してきた。

「ブロガー爆殺」はウ軍か反政府組織か、それとも…

社会に衝撃を与えたのが、4月2日にサンクトペテルブルクのカフェで起きた右派ブロガーの爆殺事件だ。愛国勢力による討論会の開催中、軍事ブロガーで「戦争特派員」を名乗るマクシム・フォミン氏が若い女性から贈り物を渡された直後にこれが爆発し、同氏は即死、30人以上が負傷した。

連邦保安庁(FSB)はウクライナ人の男がロシア人女性に爆発物を届けたとして、トルコに出国した男を指名手配し、「ウクライナ特殊部隊のテロ」と非難した。

しかし、「国民共和国軍」と名乗る反プーチンの地下組織が2日後、SNSで犯行声明を出し、単独で実行したと発表した。

一方、別の線も浮上している。ペテルブルクのカフェは、民間軍事会社「ワグネル」の創始者でオリガルヒのエフゲニー・プリゴジン氏が経営する。殺害されたフォミン氏はプリゴジン氏と組んで、激烈な正規軍批判を展開しており、政権側による警告では、とする臆測も出た。