双方が連日ツイッターでののしり合い、通帳のコピーまでネット上に飛び交う暴露合戦はあまりに急展開で、最新の形勢をアップデートして把握しているのはよほどのマニアだけだろう。

暴露系ユーチューバーのガーシー氏の除名騒動に困惑して拒絶反応を示した多くの有権者にとって「政治家女子48党」の「創始者(立花氏)」と「池上彰氏の娘役(大津氏)」による党首争奪戦はもはや常軌を逸した劇場型政治でしかなく、話題にすることさえはばかられる異次元の政治ニュースとなった。

一方で、一部ネットメディアの報道は過熱し、興味のある人とない人では決してわかりあえないニッチな政治現象と化したのである。

ミニ政党の“お家騒動”では片付けられない

私も目を塞いできた。この問題を政治ジャーナリストとして取り上げること自体が立花氏の世論喚起策への加担になると自分に言い聞かせ、見て見ぬふりを正当化してきたのかもしれない。だから立花氏と大津氏の骨肉の争いを詳しく解説する資格はないし、そのつもりもない。

だが、執筆依頼を受けて一連の騒動を改めて俯瞰してみると、やはり参院議員2人(2019年に当選した立花氏の失職で繰り上げ当選した浜田聡氏と、2022年に当選したガーシー氏の除名で繰り上げ当選した斉藤健一郎氏)のミニ政党のお家騒動として片付けるべきではないと思うに至った。

党首の座を奪い合う泥仕合の内実は、ミニ政党に流れる年間3億円超の政党助成金の争奪戦であるからだ。その原資が私たちの税金である以上、この国の政党政治のあり方を問う政治問題として目を塞いではいられない。

政党の「税金依存」を可視化している

そして「政党助成金の争奪戦」の図式は、何も政治家女子48党というニッチな新興政党に限ったことではなく、自民党や立憲民主党をはじめとする主要政党にも当てはまることに気づいてハッとしたのである。

自民や立憲も政党助成金なしには存続できないほど「税金」に依存している。彼らは各党に配分された政党助成金の奪い合いを真綿で包んで「政局」という名の党内闘争を繰り広げているだけだ。

永田町的素人集団の政治家女子48党は党内闘争=ケンカの仕方が稚拙であけすけなだけで、「政党助成金の争奪戦」という点では既存政党と本質的に変わりはない。彼らのおぞましい内紛は、政党助成金という「税金」に依存してそれを党内で奪い合うこの国の政党の実像を実にわかりやすく単純化して可視化したのだった。

だとすれば、政党の内紛を引き起こす元凶である「政党助成金」について再考しなければならないと思い直したのである。