カネをどう使うかは党幹部次第

政権与党にはもうひとつ税金を原資とする重要な資金源がある。領収書不要のつかみ金である内閣官房機密費だ。国会対策やマスコミ対策の「裏金」として使われていることがたびたび指摘されてきた。

菅義偉政権が1年間に使った官房機密費は13億円超で、官房長官が自由に使える「政策推進費」は12億4000万円にのぼることが判明している。1日平均300万円以上を何の制約もなく費消してきたのだ。官房機密費は、使途が公開される政党助成金よりも深いベールに包まれているといってよい。

曇天の国会議事堂
写真=iStock.com/kanzilyou
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政党助成金の配分権を握るのが幹事長なら、官房機密費の金庫の鍵を握るのは官房長官である。内閣改造・党役員人事の際に幹事長と官房長官の人選に注目が集まるのは、巨額の資金を差配することができるポストだからだ。

有力政治家はこれらのポストに就任している間に資金を蓄え、政治基盤を強化して首相を目指す。安倍晋三元首相は幹事長と官房長官の両方を歴任したし、菅義偉前首相は安倍政権下で官房長官を歴代最長期間つとめた。岸田文雄首相の政権基盤がいまいち固まらないのは、幹事長も官房長官も経験していないことと関連があるだろう。

「税金」を奪い合う政党の内紛を放置していいのか

かつて企業献金を奪い合った政治家たちは今、私たちの税金を原資とした政党助成金や官房機密費を奪い合っている。資金源のパイは大政党ほど大きくなり、そこに群がる面々は膨れ上がる。小政党ほどパイは小さくなり、内向きな争奪戦は生き残りを賭けた熾烈しれつなものになる。どちらも資金獲得のための「党内政局」に明け暮れていることに変わりはない。

政治家女子48党で勃発した党首争奪戦は、どの政党でも繰り広げられている政党助成金の争奪戦をより稚拙に単純化して可視化したに過ぎない。最も問われるべきは、私たちの税金を内輪で分捕り合う政党のあり方そのものであろう。

企業献金を競って集めた金権政治・派閥政治へ逆戻りしていいはずはない。さりとて「税金」を奪い合う党内闘争に明け暮れる今の政党を放置すべきでもない。

政党を公費で助成するのは正しい選択なのか。仮に正しいとしても、今の配分システムが適切なのか。政治家女子48党のニッチな泥仕合は「政党助成金」のあり方そのものを問い直している。

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