20代半ばにして、将来を嘱望される社員がいる一方、逆に20代で将来の成長の見込みなしと烙印を押される社員もいる。それは学力・知識力はあっても、応用力に欠けるタイプと二宮氏は指摘する。
「入社後のジョブローテーションで一通りの業務をやらせると、見込みがないことがはっきりとわかる。たとえ一流大学を出て、学力は優秀でも会社が期待する応用力を発揮できない社員が出てくる。採用ミスということになろうが、入社5年もすると、数は少ないが必ず発生する」
また、会社に見切られるタイプに共通する性格は、周囲が関心を持つことに、まったく興味を示さない人。言い換えれば協調性やチームワークに欠けるタイプだ。こうした性格は入社した直後、2~3カ月でわかることがままあり、それは採用ミスと判断されることになる。採用ミスと判断された社員は早い段階で退職に追い込まれることにもなる。
実際に辞表を提出させた電機メーカーの人事担当者は「総合職として能力を発揮できないまま会社に残ることは、一般職の社員にも示しがつかないし、本人にとっても不幸。早期に退職し、新たに自分の能力を生かせる分野を探すことが幸せにつながる」と指摘する。
優秀な若手人材の早期の発掘と育成だけではない。会社に見限られる社員の早期化も加速している。
※すべて雑誌掲載当時
(小原孝博=撮影 image navi=写真)