暗号資産(仮想通貨)などの「Web3」のブームとは、いったい何だったのか。エコノミストのエミン・ユルマズさんは「破綻した暗号資産交換業大手のFTXは、『ポンジスキーム』という古典的な詐欺に手を染めていた。Web3のブームが、そうした詐欺の余地を生んでしまった」という――。(第3回)

※本稿は、エミン・ユルマズ『大インフレ時代!日本株が強い』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

Web3
写真=iStock.com/Just_Super
FTX破綻は「ポンジスキーム」だった(※写真はイメージです)

暗号資産交換業大手のFTXの錬金術

破綻した暗号資産交換業大手のFTXの錬金術とは、いったいどのようなものであったのか?

どの記事や論説を読んでもわかりにくかったので、ここは私自身で調べてみようと腕まくりした。ちなみに昨年12月22日に保釈されたFTX創業者のサム・バンクマン=フリード元CEO(30)の保釈金は2億5000万ドル(約330億円)であった。

まずはこのサム・バンクマン=フリード氏がどんな人物なのか。そこから始めよう。

彼はいわゆるエリートの家に生まれた。両親ともに名門の誉れ高いスタンフォード大学法科大学院の教授という。

日本人や韓国人が高く買わされていた

マサチューセッツ工科大学(MIT)で物理学を専攻した彼は、卒業後しばらくはHFT(ハイ・フリークエンシー・トレーディング=超高速取引業者)企業のジェーン・ストリートでディーラーをしていた。

バンクマン=フリード氏はHFTを退職、アラメダリサーチという会社を創設した。

ここはいわゆるトレーディング、ディーリングを生業なりわいとする会社だった。

そしていまから5年ほど前、仮想通貨がまだ黎明れいめい期だった頃、アービトラージ取引(裁定取引)に着目し、大儲けをした。

その当時、本場の米国市場と日本や韓国の仮想通貨市場との間には価格差が存在していた。つまり、市場が効率性を欠いていたのだ。

例えば、ビットコインが米国市場で1万ドルだった場合、日韓市場では1万1000ドルだった。

日本人や韓国人が高く買わされていたわけである。