ガスホースで「こらしめのムチ」を受ける生き地獄

【斎藤】よく聞くのが、「こらしめのムチ」でしたっけ。素手じゃなく道具で叩くんですよね。

【横道】ガスホースやベルトのことが多かったようですね。

【斎藤】そうとう痛いんじゃないですか、それは。

【横道】自閉症者には感覚過敏と感覚鈍麻が併存していて、痛みにやたら強い人もいるのですが、私は痛みに関しても過敏で、ふつうの人よりも痛みを感じやすい。生き地獄でしたね。

ほかのエホバの証人2世と話していても、エホバの証人に無関係の人と話していても、「その時代の日本だったら、体罰なんてどこでもあったでしょう」とか「ときどきお尻ペンペンぐらいのことはされましたけど」とか言われますが、頻度や程度がまったく違うと思います。我が家のようにいつ母のスイッチが入るかわからず、子どもたちが毎日のように恐怖にさらされていた家庭と、「たまに罰がある」のとでは異質なので、それはわかってほしいところです。

母は多動のある発達障害児だった私を矯正したがった

【横道】母がムチをやると決めたら、まず1時間か2時間、正座させられるんです。私がなかなか黙って座っていられないのが、大きかったと思います。発達障害のことも、それが治療できないことも認知されていなかった時代で、母は私を矯正したくて仕方なかったわけです。正座が終わったら、自分がどう悪かったかと自己批判を促されるので、こちらからいろいろと話す。あのしらじらしさは、本当に気色が悪かった。

そのあとムチをやられ、ガスホースで臀部を殴られる。そしてそのあとがほんとうに最悪です。抱きしめられて、「愛してるからやってるんだ」と強調されます。そのようにやれと、教団が指示していたんです。愛情表現なのだと、ちゃんと説明しなさいと。そのときの「消えてなくなりたい」という気持ちは、強烈なものがありました。「この地獄はいつまで続くんだろう」と思っていました。