未来を変えるために必要な3つの要素
世界を変えたい。会社を変えたい。あるいは起業したい、という人は多い。いずれにしても、何かことを成そうとする時にはAspiration(志)、Perspective(洞察)そしてInspiration(着想、ひらめき)の3つが必要だ。ここで最初に来るのはAspirationだろう。Aspirationとは、予言の自己実現のもとになる原動力だ。自らああしたい、こうしたいと湧き上がる思いや情熱が最初にある。
しかし現実、そして自分を取り巻く環境は甘くない。そこでPerspective、つまり洞察が必要になる。過去に常識だと思っていたことを崩して、想定外の流れを作った人たちがいた。その息吹を古典書を通じて彼らに学ぼう。古典書を読むというのは、彼らのセンスを借りて、現代人が未来を洞察するということだ。
3つ目のInspirationとは何か。現代の俗説を打破して洞察を得たら、周りの人々を感化(Inspire)する。まずは自分のAspirationを理解するメンバーを集める。彼らとPerspectiveを共有し、刺激しあう。そこからInspiration(着想、ひらめき)が生まれる。それがビジネスや社会運動で、ことを成し遂げる原動力となる。
洞察は未来を変える原動力になる
例えば、カール・マルクスは『資本論』で「資本主義は社会を分断し、人間の疎外を生み出す」という洞察を示した。その洞察に感化された人たちが蜂起して1922年にソ連が誕生した。そして資本論は読み継がれてきた。
やがてソ連は国家としては失敗に終わり、マルクスの処方箋の間違いもわかった。しかしマルクスの洞察は今日の分断社会を見ると、依然正しいと感じる。
あるいはルソーの『社会契約論』はどうか。もともとは洞察にあふれた物語にすぎなかった。しかし、民衆は社会契約説に感化され、フランス革命は大義となり、やがて米国の建国や大日本帝国の民主化に連なった。ルソーの洞察は世界史を大きく動かした。
このように洞察は未来を変える原動力になる。それで実際に人が動き、歴史が動いてきた。だから洞察の質の高さが問われるのだ。