進捗管理とは異なる1on1ミーティングを定例化する
インテル社中興の祖と呼ばれるアンドリュー・グローブが経営の最重要事項と位置づけ始めたといわれる1on1ミーティング。今から10年前に日本でもIT業界を中心に導入され始め、今では業界を問わず大手企業の多くで導入されているマネジメント技法です。
1on1ミーティングの定義は「上司と部下による週1回〜隔週1回程度の定期的な一対一の対話」です。
この短い定義の中に1on1の要諦がいくつも含まれています。
まずは上司と部下という組織の大黒柱に特化したコミュニケーション技法であること。
同時に一対一の濃密なコミュニケーションであり、一対多とは異なる雰囲気、内容になることです。
さらには、定期的であることも大切であり、用がなくても必ず実施することです。頻度としては、熱心にやっている企業の多くは毎週行っており、最近始めたばかりの大手企業では月1回など少ない頻度が多く、ばらつきが大きいのも特徴です。
私は自身がコンサルタント会社を経営していた際にこの1on1を毎週欠かさず実施していた経験から週1回の頻度をお勧めしています。
組織は毎週のように様々な出来事が起こり、メンバーのモチベーションも週1回程度の短いサイクルで上下動するからです。
そして、1on1で最も大切な点は、それを進捗管理に使わないことです。
1on1のコミュニケーションは会話ではなく対話です。対話とは結論を出すディスカッションではなく、相互理解をゴールと置くことにあります。
そして対話のもう1つの定義は「他者の出来事」を話すのではなく「自己の内面」を伝え合う本音のコミュニケーションにあります。
その意味でも、日常業務の進捗確認に1on1を使うのではなく、日頃なかなか話せない悩みの相談や、中長期的なキャリア相談。部署のコミュニケーションや業務プロセス、商品サービスの改善、経営方針に対する意見の交換など、「深イイ話」に絞っていただきたいのです。
これらのポイントを理解し継続できれば、1on1ミーティングはコミュニケーション向上の欠かせないツールとなることでしょう。