休息より、体操で脳の疲れを取る

身体をゆるませることが大切と言われても、ピンとこないかもしれない。ゆるむという言葉は「たるむ」という言葉と類似しているため、ネガティブなイメージでとらえられることが多いからだ。しかし、ここで言う「ゆるみ」は「たるみ」とはまったく別もの。身体がリラックスして新陳代謝が活発になり、身体にとって理想的な状態と考えればいいだろう。

では、具体的にどうすれば身体をゆるめ、脳を鍛えることができるのか。

疲れを取るなら休息を取るのが普通だが、ただ休むよりもはるかに効果的に機能を回復させる方法があると私は考えている。身体がゆるむように能動的に働きかけることで、脳が本来持っている機能を活発化する環境を整えるのだ。そのために考案したのが「ゆる体操」である。

「ゆる体操」は、ヨガ、気功、呼吸法、ストレッチ、武術などのエッセンスを取り入れた、手軽でユニークな体操法である。難易度やゆるめたいパーツなどによって様々なバリエーションがあるが、脳の疲労を取り、すばやく思考力を回復させるビジネスマン向きの体操を挙げるなら「背もたれ首モゾモゾ体操」がお勧めだ。東洋医学では、後頭部の下端と首の境目に、眼精疲労などに効く「盆の窪」というツボがあるが、これを気軽に刺激することができる体操だ。

方法はいたってシンプル。まずは、背もたれのある椅子に腰掛けたら、背もたれの上部に首を載せる。全身の力を抜き、背もたれにあずけた首をゆっくりと左右に動かすだけだ。バスタブの縁などを利用してもいいだろう。「首ゴロゴロ体操」も併せて行うと効果が高い。床や畳にあおむけに寝て全身の力を抜き、首をゴロゴロと左右に回せばいい。