実際、売却の依頼を受けた地元業者が、適正な実勢相場に基づいた査定額を売主に提示すると、もっと高い価格で出されている広告があるではないかと怒られてしまうという話を筆者は何度も耳にしている。
分譲地の所有者の多くが都市部在住の不在地主で、都市部と比較して土地の価格が、文字通り「桁違い」に安いために、その価格が高いか安いかの判断すらできていないケースがあるのだ。
千葉の限界分譲地だけが空回りをしている
大量の無意味かつ非現実的な広告、需要を圧倒的に上回る過剰供給の常態化、不在地主であるがゆえに浸透しない実勢相場など、千葉の限界分譲地は非常に特異な市場が形成されている。
昨今は、日本各地の古い分譲地、別荘地の更地は軒並み価格が下落しているとはいえ、実勢相場に納得できない地主の土地は単に市場に出てこないだけで、売れもしないのに膨大な広告だけが溢れかえっているという状況はみられない。
管理者もなければ地域社会との繋がりもなく、不在地主が自力で「管理」「売却」に奔走しなくてはならない千葉の限界分譲地の更地だけが、ほとんど需要もない中で空回りを続けているのだ。
何もかも他人任せで売却まで容易に済ませられる市場ではないという点では、市場のない地方の農村部とあまり変わらないのかもしれない。