何もしないのは加害に加担しているのと同じ

【アル】男性にそういう姿をどんどん見せてほしいです。私はアクティブバイスタンダーという言葉をアメリカ生まれの通訳の友人から教えてもらったんですよ。アメリカではアクティブバイスタンダーという言葉が知られていて、第三者介入プログラムの導入により、性暴力の事件数が減った学校などもあるそうです。

たとえば、教室でいじめが起きているときに「自分はいじめなんかしてないし」「自分には関係ないし」と周りが見て見ぬふりをすれば、加害者はやりたい放題できますよね。やれることがあるのに何もしないのは、消極的に加害に加担していることになる。「それセクハラですよ」と注意できるような、男の子たちのロールモデルになるような男性が増えてほしいです。

【田嶋】男は一般に男性に注意されるとエリを正しますね。やっぱり一段低く見ている女性から注意されてもいまひとつというところがある。それほど女性蔑視は根強い。

子どもへの性教育で露呈する「分かり合えなさ」

【アル】夫との分かり合えなさについての悩みをよく聞きます。「夫と子育てするのはムリゲーだ」と悩む女性も多いですよ。

【田嶋】たとえば?

【アル】たとえば息子とアニメを見ていて、偶然パンツが見えたり胸に手が当たったりする「ラッキースケベ」とか、スカートめくりのシーンとかあったら、妻は「プライベートパーツ(*3)を触ったり見たりするのは相手を傷つけるからダメなんだよ」って話をします。でも、それを聞いている夫は「そんな目くじら立てなくても」とか言うんですよ。そういう意識のギャップをどうやって埋めていけばいいんでしょうか。

【田嶋】それも今に始まったことではないよねえ。今こうやってフェミニズムの風が吹いてきて、女の人の意識も変わったからダメだと言えるようになったけど、昔は女性もそういうことを無意識に受け入れていたよね。

【アル】ダメだと言えなかった女性も、ダメだと気づかなかった女性もいると思います。でも今でも多くの男性は気づいてないので、男女間でギャップが広がってるんです。

【田嶋】女性が丁寧に説明してあげてもいいんじゃない? 「昔は自分もこういうことに疑問を感じなかったけど、今はおかしいと思う。私はとてもイヤだった」と。この「私はとてもイヤだった」という私を主語にした言葉が大事。「だから息子が誰かに嫌な思いをさせないために、あなたにも協力してほしい」って。

*3【プライベートパーツ】口、胸、性器、お尻のこと。親であっても他人が勝手に触ったり見たり、逆に触らせたり見せたりしてはいけない部分。プライベートゾーンと呼ぶこともある。