守ってもらわなくていいから、ちゃんと話を聞いてほしい

【アル】コラムにはこう書いたんですよ。〈私は「きみのことを守りたいんだ〜フンガフンガ♪」みたいな曲を聞くと「何から? どうやって?」と思う。/べつに守ってもらわなくていいから、ちゃんと話を聞いてほしい。「女」じゃなく「一人の人間」として尊重してほしい〉。そしたら女性たちから膝パーカッションの嵐でした。

【田嶋】「ちゃんと話をきいてほしい」まさにそれだよね。

【アル】愛という名の支配』に〈それでも男は、「女は弱いものだから、男が守る」のだと言います。いまの時代で女を守るということは、まずこういう状況の解決に手を貸してくれることです。それがほんとうの男のやさしさというものではないでしょうか〉って書かれてますよね。田嶋先生は30年前に同じことをおっしゃっていた。「差別するな、性暴力をやめろ」と声を上げてくれる男性こそが、女を守る男なんだって。

男性は「アクティブバイスタンダー」になって

【田嶋】あなたが動画を作ってたよね。飲み会で女性がセクハラされていて、男性の同僚が上司に「それはセクハラですよ」って注意する。あれはすごく助かる。いいよねぇ。

【アル】シオリーヌさんと一緒に創った「#ActiveBystander=行動する傍観者」の動画ですね。

ミソジニーが染みついたおじさんは女性の言葉を聞かないから、男性が「それセクハラですよ」って言うと効果があるんです。女性が言うと「ナントカさんは怖いなあ(笑)」と茶化されてしまう。だから男性こそ性暴力を見て見ぬふりしない、アクティブバイスタンダーになってほしいと思って、動画の主人公を男性にしました。

【田嶋】少し前『そこまで言って委員会NP』で、ゲストの女性が、「(昔のバラエティ番組では)後ろから芸人さんに胸をわしづかみにされたり……」って話をしてたの。でもそのとき彼女は「芸人さんが必死に爪痕を残そうと思ってやってることだから、そんなに嫌な気持ちではなかった」って言ったんだよ。私は内心「ヤダなぁ。男社会に過剰適応だよ」って思ったんだけど、面倒くさくなって何も言わなかったら、司会の野村明大さんが「でも何を言い訳しても、胸をわしづかみとかまったく言い訳にならないですけどね」って言ってくれて。手を叩きたいくらいだった。

【アル】ほおー! 男性が「いや、それはセクハラだ」と言ったわけですね。

【田嶋】そう、すごく嬉しかったの。だからスタッフに「明大さんの発言を削らないで」って頼んだら「尺の都合でどうなるかわかりませんけど努力してみます」って言ってくれて、放送を見たらカットされずに放送されてた。