口蹄疫というのは口と蹄に同じような水ぶくれの症状が出ることから名付けられた病名です。英語で「foot and mouth disease」。要するに、子供がかかる手足口病と基本的には同じ病気なのです。これくらいまで説明すると、聞いている人は多分「へぇ」と思う。

「口蹄疫」の回では、語句の説明までしなくてもいいのでは……という番組スタッフもいましたが、あえて前段部分までは説明しました。

回りくどくなっても、キーワードは何らかの形でわかりやすい日本語に変えるし、「へぇ」と思わせるような一工夫を加える。そこにはこだわっています。

番組のスタッフとともに作製した八ッ場ダムの模型。平易な言葉に言い換えるのと同じ比重でビジュアルづくりにはこだわっている。

もう1点、わかりやすく伝えるために、重要視しているのはビジュアルの工夫です。私たちが「パターン」と呼んでいる文字のフリップ。あるいは図版や模型。耳だけで情報を聞いても絶対に印象には残らない。耳からの情報に加えて、目に見えるものがあると、より鮮明に理解が進みます。

それがハッキリしていたのが「週刊こどもニュース」で、主役は私の解説ではなくもっぱら模型。模型を理解してもらうために、そのサポートとして私が説明していたようなものです。

テレビは原稿1つですべてを表現する媒体ではありません。わかりやすい言葉に言い換えるのと同じくらいの比重で、どういう表を作るか、どういう模型を作るかということにこだわっています。作りが甘ければ、ギリギリの段階でも手直しする。