ヤフーと悪質ユーザーの「イタチごっこ」

残りの24%が人の手によって削除されたものだ。人の手で削除した投稿のうち、78.9%は巡回・AI判定を契機としており、ユーザーからの違反申告による割合は21.1%。違反申告は1年間で230万件(月平均18.6万件)。年間の投稿件数に対する割合は1.4%だ。

人の手で削除したうちの53.5%は「不快投稿等」という理由で削除されており、さらにそのうち68.1%が「過度な批判や誹謗中傷等」に該当するとして削除されている。

誹謗中傷対策はコメントの削除だけではない。2018年からは、不適切なコメントを繰り返すユーザーに対する投稿停止措置をとっている。しかし「抜け道」は存在し、別のYahoo! JAPAN IDを新たに取得して再び投稿するケースが相次いだ。

2021年からは、一定以上の投稿数のある記事のコメント欄を対象に、AIが判定した違反コメント数などの基準に従ってコメント欄を自動的に非表示にしている。該当のコメント欄には「違反コメント数などが基準を超えたため、コメント欄を非表示にしています」という一文が表示される。

ヤフーの発表によると、導入開始から2カ月間でコメント欄が非表示となった記事数は216件で、1日あたり平均3.5件だった。1日あたりの配信記事数の0.05%程度だ。

2022年には、秋篠宮家をめぐる誹謗中傷対策として、一部メディアのヤフコメ投稿欄を閉鎖したこともある。

本人確認必須で悪質ユーザーが「半減」

さらに11月からは、ヤフコメを投稿できるユーザーは携帯電話番号を登録したユーザーに限定。その結果、悪質なコメントをするユーザーは56%減少、不適切なコメントも22%減少したと公表した。投稿停止措置を受けたYahoo! JAPAN IDの5割以上が携帯電話番号を設定していなかったという。

結果的に、複数の誹謗中傷対策を講じてきた中で、本人確認が一番効果的だったと言えそうだ。匿名は攻撃性を高めることが知られている。本人確認が済んだ状態では、誹謗中傷コメントもしづらくなるというわけだ。

とはいえ、効果は「半減」であり、携帯電話番号を登録しても誹謗中傷を行うユーザーがまだ多く存在していることは課題として残っている。