なぜ現在江戸城には天守がないのか
しかし、完成からわずか20年足らずで、江戸の6割を焼き尽くした明暦3年(1657)の大火に見舞われ、焼失。その後、石垣だけは再建されたが、町の復興に人力を割くべきだという意見のもと、再建は中止に。江戸城に天守が建つことは二度となかった。
ちなみに、それぞれの天守の規模自体は、3回ともほとんど変わらなかったようで、すでに家康の時代に、とてつもない高層建築が建っていたことになる。
それもこれも家康が築き上げた絶大な権力の賜物。いまもそんな権力を行使できれば、震災で甚大な被害を受け、復興に30年かかるとされている熊本城なども、数カ月で元どおりの姿に戻せるのではないだろうか。
皇居周辺、あるいは外郭の端々に残されている江戸城の遺構も、こうした目で見ると、とてつもない権力の遺産に見えてくるからおもしろい。