14年書き続けてもヒットゼロだった小説家の大変化
心温まる事例はまだある。娘が2月に投稿した16秒のTikTok動画で、無名のアマチュア小説家がベストセラー作家へと変貌した。
英BBCの記事によると、ロイド・リチャーズさんはアメリカに住む74歳の弁護士だ。3人の子供の父親でもある彼は、多忙な仕事と家族の時間を両立しながら、時間を見つけては趣味の小説の執筆に没頭してきた。いつかは自分の本が売れればいいのにと願いながら、14年間筆を走らせる。
娘のマーガレットさんは、孤独な後ろ姿を見せる父を応援したかった。書斎で原稿に取り組むいつもの父の背中をいくつかのショットに収めると、16秒の動画に編集してTikTokで公開した。
「Amazonに並ぶ美しく書かれたスリラー本です」と題する動画は、書斎で独りキーボードを叩く姿を映しながら、テキストでこのようなメッセージを語っている。
「私の父は14年間、本を書き続けている。フルタイムの仕事があり、子供のことを第一に考えている。それでも時間を作っては本を書いた」
娘が投稿した16秒の動画でベストセラーに
動画にはロイドさんが11年前に著した、FBIが連続殺人事件の真相を追うペーパーバックのスリラー小説『Stone Maidens』(石の乙女)が映されている。弁護士の仕事を通じて得た刑事裁判の専門知識を、余すところなく自身の作品にぶつけた。
娘のマーガレットさんは続ける。「売れ行きは決して芳しくないけれど、それでも父は幸せそう。けれど何としてもヒットしてほしい。父はTikTokが何のことかも知らないけれど」
動画は瞬く間に拡散し、現在までに5000万回以上再生される注目を集めた。そしてすぐに、驚くべき展開が訪れた。英BBCは、同著がAmazonで売上1位を獲得したと報じている。TikTokの投稿がバズったと娘から聞かされたロイドさんは、コメント欄を読みながら涙を流したという。
ロイドさんはBBCに対し、「(動画が話題となった)先週は、私にとって嵐のような体験でしたし、本当に気が遠くなるようなものでした」と語っている。
決してあきらめず、売れない作家生活を14年間も続けたロイドさんは、TikTokの動画がきっかけで夢を現実のものとした。