両陛下に限らず、皇族はもっと外遊したほうがよい
令和の時代になってから、皇室外交は、新型コロナ禍で止まってしまっていた。せっかくの東京五輪・パラリンピックの機会も生かすことができなかった。これから、再スタートということになるが、皇后雅子さまのご体調の問題もあり、平成の時代ほどの頻度と内容で両陛下の外遊を行うわけにはいきそうもない。
そうなると秋篠宮皇嗣殿下夫妻の役割を増やし、しかも、重い位置づけのものにしなければならないが、限界もある。皇族数の減少と高齢化のなかで、いろいろ工夫があってしかるべきだ。三笠宮家や高円宮家の女王さまたちや佳子さまにももっとご活躍いただきたいし、悠仁さまや愛子さまには、外国の王室のように、成人や大学卒業を待たずに積極的に公務をしていただいてよいのではないか。
あるいは、休暇を過ごすという目的でも、どんどん海外へ行っていただいたほうが、リフレッシュのためにもよいと思う。公務か休暇か曖昧な形より、国内の私的旅行と同じ扱いでよいだろう。
「開かれた皇室外交」のために必要なこと
さらに、皇位継承問題との絡みで、旧宮家や結婚したあとの女性皇族に皇族になっていただく、あるいはとどまっていただこうという案も「皇位継承についての有識者会議」の報告で提案されているが、私はかねて、皇族などにしなくても、そうした方々に、宮内庁参与とか嘱託のようなかたちで国際交流やこれまで皇族が担っていた活動の一部を分担していただくのはどうかと提案している。
それは、上記の有識者会議の報告での皇族の範囲拡大の準備としても有益なのだ。旧宮家の方の中には、これまで国際的なお仕事をされてきた方も多いし、若い方でも有給休暇をとられて外国訪問など可能な時代だ。皇族に復帰していただく適任者探しのためにも好都合だ。
また、女性皇族が結婚されるまでの短い期間しか公務ができないのはもったいない話だ。黒田清子さんのようなケースだけでなく、小室眞子さんのように、結婚によって皇室から出て海外に拠点を移すようなケースでも、それなりの手当で、皇室外交につながるような仕事をしていただくのはよいことだと考える。彼女たちの生活を安定させて、品位を保っていただくことにもつながる。
こうした皇室の課題を考えても、秋篠宮ご夫妻の戴冠式へのご出席は前向きなものだと思う。皇室や王室による外交は人気があり、世界から歓迎されるものだ。高円宮妃殿下久子さまが国際オリンピック委員会(IOC)総会で、東京五輪・パラリンピックの誘致演説をされたことについては当初、消極的な意見もあったが、結果的に大成功だった。
令和の皇室外交はより積極的に、開かれた多彩なものにすべきであろう。