おもらしへの抵抗感>オムツへの抵抗感
大人がオムツをするのは、寝たきりになったときという印象が強いせいか、自分からオムツをつけることに抵抗感を抱く人も多いでしょう。
ただ、「漏らしてしまうかもしれない……」と緊張しながら日々を過ごすよりは、こうした高齢者向けの便利な道具を導入することで、心理的に安心を確保するほうが暮らしやすいと私は思います。実際、私と同じように頻繁に尿意に悩まされている患者さんが、オムツをつけるようになったことで、「精神的に楽になった」とおっしゃることが多いです。
特に、日本人は清潔に対する意識が高いので、おもらしをすることに強い抵抗感があります。それゆえ、高齢者がおもらししてしまった場合、周囲も過敏に反応しますし、本人も強い羞恥心を感じて、「失敗してしまった……」と落ち込んでしまいます。それがきっかけになって、人前に出ることをやめてしまう人もいます。
「オムツなんて使いたくない」という心の枷をはずして導入してみると、「あれ、意外と便利だな」と気が付くはずです。
「もっと楽にできる方法」で老化を乗り越える
また、大人用のオムツというと、大きなオムツを想像される方が多いかもしれませんが、最近はショーツのように下着とあまり変わらない「リハビリパンツ」と呼ばれるようなオムツもあります。
超高齢社会ゆえに、便利な道具はどんどん増えています。世の中にある様々な便利な道具を利用するだけで、自分の体に起こった老化現象を乗り越えることができるのです。
オムツ、補聴器、老眼鏡などといった文明の利器をぜひ存分に使って、意欲の障害となるものをどんどん取り除いていきましょう。
何か自分にとって面倒なことが発生したら、もっと楽にできる方法はないかと考える癖を身につけてください。何かのツールに頼ったり、お金がかかったり、誰かの介護の手を借りるとしても、意欲を持ってやりたいことを実行するのが幸せな90代になるための秘訣です。