「耳が遠くなった」は放置してはいけない
衰えたにもかかわらず、「放置しておくとまずい機能」もいくつか存在します。
たとえば、2017年に開催された国際アルツハイマー病会議での発表によれば、認知症になりやすいリスク要因の1位は難聴でした。このデータによると、認知症患者の9%が、難聴の影響で認知症を発症したと考えられています。
つまり、耳が遠くなってしまったときに、「耳が遠いけど、まぁいいか」と言ってそのまま対策を取らないと、認知症が進みやすくなってしまうのです。
おそらくですが補聴器を使わないと、耳から情報が入らずに脳へ刺激が伝わらなくなり、認知症になりやすくなるのだと思います。ですから、「補聴器はかっこ悪いから使いたくない」といって難聴を放置すると、気付けば認知症リスクまで高めてしまうのです。
他人との会話や映画や音楽などのメディアも楽しめなくなる上、認知症になってしまっては、残りの人生がもったいない。ここは、ぜひ心のハードルを下げて、ちょっとでも耳が遠くなったら、補聴器を導入することを、迷わず検討してほしいと思います。
余談ですが、そのほかに放置しておくと認知症を招く意外な病気が、歯周病です。歯周病菌が認知症の要因となる脳内物質のアミロイドβの生育を促進するといわれています。そして、それ以上によく噛んで食べることが認知症の入り口を遠ざけるのでしょう。
歯は健康やQOL(人生の質)に大きく関連するパーツだからこそ、そのケアはぜひ念入りに行ってほしいところです。