価格帯は15に分かれている。ステージへの近遠だけでなく、左右、また視野なども考慮してかなり細かく席種が分類されていることが分かる。
最高額の座席はPremium4の145ポンド(約2万3900円)だ。劇場1階中央部E~Q列の171席に限られている。次はPremium3の112.5ポンド(約1万8500円)が続く。2階中央前部の128席。Premium2の105ポンド(約1万7000円)、Premium1の87.5ポンド(約1万4400円)は、それぞれ135席、90席。いずれもPremium4、3の周辺にある。
Premium席は計547で全体の25%程度だ。次は、Top Price(約1万3600円)、2nd~8th Price(約1万2800円~8200円)の8段階に価格帯が分かれた席種がある。
座席のレビューや口コミも重視される。「whichseats.com」(London Lyceum Theatre Seating Plan and Seat Reviews)は、観劇客が自分で購入した座席の見えやすさ、快適さ、足元の広さを評価しており、レビューされている。
ロンドン劇場のすべての座席について情報を収集して公開している。料金が変動するので、平均購入価格も表示される。「お金の値打ち」をシビアに考慮する欧米人にとって座席の良しあしは重要な「選択情報」なのだ。
日本人はもっと怒ったほうがいい
日本人に比べて西洋人は権利意識が高く、権利の対価について敏感ということもあるだろう。需給関係を考慮して料金が時期や曜日、時間で柔軟に変わることがよくある。「定価」を重んじる日本との違いを感じる。
例えば、宿泊の予約サイトをイメージしてほしい。日本の旅館・ホテルは1泊2食付き料金が表示されているのが通常だろう。だが、夕食・朝食にどのような内容が提供されるのかの合意がない場合も多い。
お品書きや写真が掲載されている場合もあるが、以前は電話で「1泊2食付き」というだけで予約するのが一般的だった。欧米ではビュッフェの朝食付きホテルはあるが、夕食付きは見たことがない。自分で内容も時間も選べることを欧米人は大切にしているのだろう。
食事付きの団体観劇も欧米ではほとんどない。自分が納得の上で、観劇料を支払う習慣が根付いているように感じる。日本でも団体観劇はかなり減ったが、昔ながらの慣習が踏襲されているように思う。