血管が広がることで痛みが生じる片頭痛
<代表的な誘因>
片頭痛
寝不足、寝過ぎなどの睡眠要因、飲酒、天候や気圧、月経周期など
ストレスから解放されたことがきっかけとなることも(週末頭痛)
緊張性頭痛
筋肉(肩や首)の緊張による血行不良
長時間同じ姿勢、VDT症候群(パソコンやスマホなどの長時間操作で起こる症状)、骨格の歪みなどに起因する
片頭痛の誘因はさまざまですが、脳の血管が拡張する際に生じる痛みが片頭痛の原因であるといわれています。飲酒、気圧の変化などは血管拡張のトリガーとなるものです。
自律神経の働きにも血管の収縮・拡張の作用があります。自律神経は交感神経・副交感神経がバランスを取り合うことで体を環境に適応させる役割を持つ神経です。心身がリラックス状態の時には副交感神経が優位となりますが、このとき血管を拡張させる作用もはたらきます。これが睡眠に起因する片頭痛やいわゆる週末頭痛の一因ともなります。
また、統計から片頭痛は男性よりも女性に多いことがわかっています。女性ホルモンのエストロゲンが片頭痛の誘因因子であり、月経周期で分泌が変動するタイミングで片頭痛が生じやすくなることもその一因と考えられます。
冷やす方がいい「片頭痛」、温める方がいい「緊張性頭痛」
片頭痛と緊張性頭痛とでは頭痛発作時にとるべき対処法が異なります。
まず、片頭痛の基本は患部を冷やすことですが、緊張性頭痛では温める方がよいです。片頭痛では光や音、体動により痛みが増すため、静かな暗所で安静にすることが効果的です。入浴は血管を拡張させるため発作時には避けましょう。
逆に緊張性頭痛では体を動かすことが推奨されます。適度な運動が筋肉の緊張を和らげ血行改善につながるためです。痛みが強い場合には無理をせず軽いストレッチやマッサージでもよいでしょう。ゆっくりと入浴し心身をリラックスさせることも効果的です。
<対処法>
片頭痛
患部を冷やす
静かな暗いところで安静にする(光や音、体を動かしたり入浴したりすることは避ける)
緊張性頭痛
患部を温める
体を動かす(筋肉の緊張を和らげ血行をよくする)
ストレッチやマッサージ、入浴をする
前出の通り、一次性頭痛は放置しておいても命に関わるものではないですが、生活に支障が出ている場合には無理せず受診することをお勧めします。治療には、片頭痛には薬物療法が、緊張性頭痛には生活習慣の改善が用いられることが多いという違いがあります。また、どちらの場合にも、原因に精神的ストレスがある場合には神経内科や心療内科での治療が必要と判断されることもあります。
ただ、実際は医療機関の受診に至らない方が大半です。片頭痛患者の60.8%、緊張性頭痛患者では48.1%が市販薬で対処しているとの調査結果もあります(※1)。鎮痛薬(痛み止め)は、適切に使用すれば一次性頭痛の対処法として有効ですが、自己流の対処を続けることがよくないケースもあります。
※1 Suzuki et al, "Prevalence and Characteristics of Headaches in a Socially Active Population Working in the Tokyo Metropolitan Area ―Surveillance by an Industrial Health Consortium". Internal Medicine. 2014;53:683-689