給与アップを実現するには「業界」に注目

給与はご自身の経験や能力に比例して上がるものだとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的な要素となるのは三つであり、「応募先企業の給与水準」「職種」そして「業界」です。職種を変える、例えばこれまで事業開発でのキャリアを築いてきた方がシステムエンジニアになる、または経理部門で長く働いてきた方がマーケターになる、といったキャリアパスのチェンジは簡単ではありませんが、職種を変えずに業界を変える場合、難易度はぐっと下がります。

実際に、当社が2022年9月に採用企業を対象に行った調査では、「業界での経験がない人材でも、募集職種での経験や必要スキルがあれば採用を検討しますか?」という問いに対して「いいえ」と回答した企業はわずか20%であり、他業界からの転職に寛容な企業が多い様子がうかがえます。

また、給与水準については、転職のハードルが比較的低い中小企業の場合、日系企業よりも外資系企業の方が高い傾向があります。そのため、職種を変えずに給与水準の高い業界の外資系企業に転職すれば、大幅な年収アップも夢ではないのです。外資系企業=英語スキルが必須、というイメージを持たれている方も多いかと思いますが、実際には他のスキルや経験の方が重視されるため、英語が得意でなくても転職をかなえることもできるのです。

以下では、実際に給与水準の高い外資系企業に転職して年収を300万円近くアップさせた方3名の職歴をご紹介します。

束になった履歴書
写真=iStock.com/tommaso79
※写真はイメージです

食品→化学→医療機器と業界を横断する営業パーソン

では、実際に他業界へ転職して大幅な年収アップを実現させた方の実例を見てみましょう。年収950万円から1250万円へと、転職によって年収300万円の大幅アップを実現したAさん(40代・男性)の場合は、「営業」というご自身のスキルを活かし、食品メーカー(5年勤務)から化学メーカー(12年勤務)、そして医療機器メーカーと2回の他業界への転職を経て、年収1250万円の内定を勝ち取っています。

営業職の場合、給与水準が高くなる企業には主に三つの特徴があります。一つは外資系企業であること。二つ目は企業の規模であり、一般的には企業規模が大きくなると年収相場も上がる傾向にあります。そして三つ目は、給与水準の高い業界であることです。医療機器メーカーや診断機器メーカー、医薬品メーカーをはじめとする医療業界は給与水準の高い業界の代表例として挙げられます。

外資系企業に転職したAさんですが、英語が得意というわけではなく、読み書き程度の英語力ですが、過去の営業成績や目標達成の成果などを詳細に職務経歴書に記載し、また他業種への転職でも高い適応力と新しいことを学ぶ姿勢をうまく伝えられたことで、高い年収での内定へとつながりました。