周囲には事の真相はわからない
私が教訓にして気をつけようと思ったのは、ここから先の話でした。
弁護士先生は、こうしたケースでは「周囲には事の真相はわからない」と言うのです。本当に何があったかは、弁護士にもわからない。本人たち以外にはわからないことだと。
確かに、男女関係がどうなって、そのとき何が起きていたかは、本人たちにしかわからないでしょう。本人たちですら見解が違うことがあるとも思えます。
セクハラを告発されたら勝ち目はない
続けて弁護士先生は言います。「他人に真相はわからないので、セクハラを疑われた教員は、本当はやましいことはしていないかもしれない。だが、君もそうしたニュース記事を読んだときに、その教員に対して決してよい印象は持たないだろう」と。
男性教員による女子学生へのセクハラとなると、「告発された男性教員に、まず勝ち目はない。だから、そうした事態に巻き込まれないように、十二分に注意すべし」とのことだったのです。私も、この話には納得せざるを得ませんでした。
この影響で、私は非常勤講師になって、はじめの10年ほどは、女子学生が授業に関することでメールを送ってきたときでも、それが大学から支給されたメールアドレスからでないときは、「次回からは大学のメールアドレスより送付してください」と返信するほど気を遣っていました。
他の教員に話すと驚かれ、笑われたりして、最近では少し緩くなりましたが。
こうした例からも、職場で風俗店の話をしたり、新入社員の女性を頻繁に誘ったりするのは、モラル的な意味合い以外においてもNGだとわかるでしょう。
李下に冠を正さず(=疑いを招く行動は、できるだけ慎むべき)という戒めもあります。
場の雰囲気を壊さないために、笑って話を聞いていたり、咎めたりしない人もいると思いますが、そうしたハラスメントまがいの行いをする人に、周囲がよい印象を持つことはありません。