1980年以降、平均身長はピタリと止まった
このデータと、その分析からこんな結論が得られる。
2.日本人の身長の伸びは1980年以降、止まった。
基準とした1948年当時は、1945年の敗戦からわずか3年が過ぎたばかりで、国民は極貧生活であり、食うや食わずの状態だった。1948年に5歳だった子どもは終戦2年前の1943年生まれである。栄養状態はかなり悪かったし、牛乳・乳製品なども口にできなかった。
一方、2020年に5歳の子どもは食べるものが豊富な時代に育った。この結果、5歳の男子を見ると、2020年は1948年にくらべ、身長は7.9cm(111.6-103.7)も伸びた。では、この身長の伸びは牛乳によるものかというと、そうではない。敗戦後の日本は食べるものがなく、カロリーが少なかったのである。だから、牛乳・乳製品に限らず、肉類でも魚介類でも穀類、マメ類でも、カロリーになるものなら何でも食べさえすれば、栄養が満たされ、身長が伸びたのである。
それから、1980年以降、日本人の身長の伸びがピタリと止まったのは、すでに十分な栄養が与えられていたので、最終的な身長は遺伝で決まっている以上には伸びないからである。日本人にいくら栄養を与えたとしても、白人ほど背が高くはなれないのである。
米農務省は「1日3杯の牛乳」を推奨してきたが…
牛乳は骨を丈夫にし、骨粗しょう症を防ぐ
できるだけ避けたいことのひとつは、高齢になって寝たきりになることである。その原因のひとつとされるのが、骨粗しょう症である。骨粗しょう症は、骨からカルシウムとコラーゲンが過度に流出することによって起こる。牛乳・乳製品メーカーは、マスコミを通じて、日本人は欧米人にくらべ、カルシウム不足だから、牛乳でカルシウムを補って骨を強くしましょうと喧伝する。これを信じた多くの中高年の女性がせっせと牛乳を飲んでいるが、本当に、牛乳は骨を強くするのだろうか?
ウソである。
牛乳は栄養価の高い飲み物である。栄養学ではカルシウムとビタミンDをいっしょに摂取すると、骨が健康になると謳われてきた。USDA(米農務省)は、牛乳が健康を増進し、骨密度(単位面積当たりの骨量)を上昇させると主張し、1日3杯、牛乳を摂取するように勧めてきた。さらにUSDAは、これを実践すれば、骨折に関連するアメリカの医療費を少なくとも20%削減できる、とアメリカ国民に檄を飛ばしている。
もし、牛乳を飲めば、骨が強くなるという主張が正しいのなら、より多くの牛乳を飲む国や地域は骨が丈夫で骨折が少ないはずである。だが、データを見ると、その反対なのである。1986年、この衝撃の事実をハーバード大学のマーク・ヘグステッド教授が「カルシウムと骨粗しょう症(Calcium and osteoporosis)」という題名の論文で発表した(*2)。
(*2)Hegsted DM. Calcium and osteoporosis. J Nutr.1986 Nov; 116(11):2316-9. PMID: 3794834