「牛乳を飲めば背が高くなり、骨太になる」というのは本当なのか。科学ジャーナリストの生田哲さんは「栄養が十分であれば、身長の高さは遺伝で決まる。牛乳を飲めば背が伸びるわけではない。また、最新の研究では牛乳を飲むと骨折するリスクが高まる危険性が指摘されており、骨太になるという根拠はない」という――。(第3回)
※本稿は、生田哲『「健康神話」を科学的に検証する』(草思社)の一部を再編集したものです。
「牛乳を飲めば背が高くなる」は本当か
今、牛乳を口にしている子どもから昔を懐かしむ中高年まで、牛乳を健康にいい飲み物と信じて疑わない。
牛乳は子どもの背を伸ばし、骨を丈夫にするといわれてきた。牛乳は、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルを豊富に含み、栄養価の高い完全栄養食品と喧伝されてきた。牛乳は健康にいいから、自分だけでなく、子どもにもどんどん飲ませようと思っている中高年も多い。そこで牛乳の健康効果について検証していこう。
【神話】
子どもが牛乳を飲むと背が高くなる
子どもが牛乳を飲むと背が高くなる
戦後、日本人は背が高くなったといわれる。牛乳・乳製品メーカーが「牛乳には成長と健康に必要なタンパク質、脂質、糖質、カルシウム、ビタミン、カリウム、リン、鉄などがバランスよく入っています」「栄養満点の完全栄養食」と盛んに宣伝するため、「牛乳を飲むと背が高くなる」というメッセージが国民にくり返し伝えられた。このため国民は背を伸ばすには牛乳を飲むのが当たり前と思うようになったのだが、本当に子どもが牛乳を飲むと背が高くなるのだろうか?
【科学的検証】
ウソである。
ウソである。
幕末の日本人がアメリカ人を観察し、身長を高くするには、牛乳を飲めばいいと思った。では、子どもが牛乳を飲むとアメリカ人のように背が高くなるのか? No.決してならない。