事前のイメージが文章の質を左右する

もし、出張に出る前に「真の目的」と「読み手」を意識して、こうした「素材」について少しでも頭を巡らせておけば、出張先の工場では的確な「素材」をすばやく手に入れることができるようになります。

必要な「素材」について聞いたり見たり、確認し、「メモ」してくればいいのです。

実はこれ、書くことを仕事にしている私がまさにやっていることでもあります。

「素材」は現場にありますから、必ず現場で手に入れなければなりません。あとでデスクでうなったところで現場の「素材」は出てこないのです。

だから、事前のイメージが大きな意味を持ってきます。会食の「お礼」もそうですが、文章を書くことがわかっているのであれば、早めに準備をしておくことが「素材」集めにおいては大きな意味を持ちます。

それができれば、あとになって頭を悩まさずに済むようになるのです。

読書感想文を書くのが嫌いだった

もう1つ、例を挙げておきましょう。

研修や講演、セミナーを受けたあと、会社や上司に感想文や報告書を提出しなければいけないケースがあります。こういうとき、「何を書いていいかわからない」「書くことがない」「書けない」といった事態に陥ってしまう人が少なくありません。

どうしてこんなことになってしまうのか。答えはとてもシンプルです。

研修や講演の最中に、しっかり文章の「素材」となる「メモ」を取っていなかったからです。

感想文・報告書というと、感想だけを書くものだと考えてしまう人がいます。

かつて書くのが苦手だった私がまさにそうでした。子どもの頃、とても嫌いだったのが、読書感想文でした。

本を読んだ感想を、原稿用紙2枚にわたって書く、とてもではないですが、感想はそんなにないし、書けません。どうやってマス目を埋めるか。ということで結局、大ざっぱなあらすじをただ書き記していくだけ、という苦痛な時間を過ごしていました。