一気に水素シフトを進める欧州に日本は勝てるのか
そもそも水素の実用化にあたっては、インフラの整備を含めて、様々なハードルを越える必要がある。そのためには政府による巨額の支援が不可欠であるが、この点に関しては財政に余力があるヨーロッパの方が優位だろう。すでに歳出の2割強が国債費となっている日本の場合、産業政策に費やすことができる財源はそれほど多くない。
他方で、水素の調達という観点からすれば、日本とヨーロッパはライバル関係にある。再エネ発電による水素の生産を目指すEUだが、実際はその生産に限界があると考えており、海外からの輸入を視野に入れている。水素の輸入に関しては、天然ガスと同様に、各国単位ではなくEU27カ国として輸入を行うスキームも念頭に入れている。
日本もまた、国内での生産だけではなく、海外からの水素の輸入を志向している。水素を輸入するうえで、日本とEUはライバル関係にある。
需要家としての経済規模は、日本よりもEUのほうがはるかに大きい。主な輸入先としてはオーストラリアや中東が想定されているが、そうした国々との間で戦略的な友好関係を構築する必要がある。