メンバーの「日々の仕事」に主体性を持たせるには
チームの成果に貢献すると、メンバーは「働く喜び」を実感し、主体性を持つようになります。ほかにも、自分の担当業務が商品やサービスでどんな役割を果たしているのか、そして、これらの商品が世の中でどう役立っているのかをメンバーに理解させることが有効だと、トレーナーの阿世知寛は言います。
「リーダーの中には、メンバーは組織の駒として働いてくれれば十分と考える人がいます。また、メンバー自身も、作業の意味を知ろうとせずに、与えられた仕事をこなすだけの人がいます。しかし、それだと仕事は単なる作業に過ぎず、やる気が起こりません。
私の場合、トヨタ時代はエンジン部品を鋳造する木型製作を担当していました。それはたくさんある工程の一部に過ぎません。しかし、世界がまだ見たことがないであろう新車開発のための木型製作に携われたときには、とてもうれしくて興奮しました」
学ぶ機会を与えることも効果的
同様に、やる気につながるという意味では、学ぶ機会があると、仕事への意欲が刺激されるので効果的です。
トレーナーの田中時男は、展示会にメンバーを積極的に参加させていたと言います。
「たとえば切削加工の現場の場合、ドリルの技術は日進月歩で、現場の作業者自身も知識やスキルのアップデートが必要です。メンバーに新しい技術に興味を持ってもらうため、工業展などの展示会に参加させて最新情報に触れる機会をずいぶんとつくりました。
単に見学するだけでなく、出展者から試供品などを借りて、実際に試し加工をしてレポートにまとめ、導入した場合の条件を決めるなど、実務にリンクした勉強をしてもらいました。何らかのアウトプットがあるほうが、学びが深まるからです。
このような機会を設けておくと、他社商品を見たときにも『ここをうまく加工しているな』などと、関心を持って観察するようになり、仕事への興味が高まるのです」