ヌードの載った週刊誌を持ち帰ったら口をきいてくれなかったとか、たわいないシモネタを言っただけで軽蔑されたっていうのは、そういうわけか。

「だから、初潮のことも、お父さんからは口にしないほうがいいですね。一番戸惑っているのは娘さん自身です。体調の変化に慣れていない状態で、不安でもある。それを最も身近な異性であるお父さんから、あれこれ言ってほしくはないですよね」

じゃあ、父親が盛り上がって「おめでとう」なんて言うのは……。「やめておいたほうが無難です。そういうことは、お母さんに任せているからというくらいの態度で。体調がすぐれないときにそれとなく気遣うだけで、お父さんも心配してくれているという気持ちはちゃんと伝わりますよ」

いや、正直言ってほっとしますよ。そういうこと、どんな顔して話せばいいのか、とんと見当つかなかったから。

それから、「友達のことを話してくれなくなった」という声も、アンケートではずいぶん見られたなぁ。異性ならともかく、女の子の友達のことくらい、話してくれてもいいのに……。

「友達との秘密の共有もアイデンティファイエイジの特徴ですね。女の子どうしで『このことは親には内緒。私たちだけの秘密ね』って。1対1の人間関係ができて、秘密の共有が快感になるのです。親友ができるようになるのも、この時期なのですが、実はこれって、擬似的な恋愛でもあるんです。こういった体験が少ないと、将来、恋愛が下手になると言われています」

恋愛 !? ああ、ついにその言葉が出てしまった。娘の恋愛!

彼氏なんか連れてきたらどうしよう。お前なんかに娘はやらん!……って、それは気が早いか。でも、好きな人はいるのか、彼氏ができたのか、お父さんとしては気になるし、心配だし、何だか腹立たしいし。やっぱり聞いてしまいそうだなぁ。

「恋愛話もNGですね。生まれてからずっとそばにいる異性なわけですから、女の子にとって初恋の相手というのは、実はお父さんなんです。お父さんが大好きだから、お父さん以外に好きな男の子ができると、悪いことをしているわけではないのに、どこか後ろめたい気持ちになる。何となくお父さんを裏切っているような気分です。しかも、お父さん自身も、娘の彼氏に対して少なからずジェラシーを感じているので、『彼氏はできたのか?』なんて言葉も、ちょっとトゲのある詮索がましい聞き方になりますよね。そんな聞き方をされて、警戒するのは当然です」