FRを選択したCX-60の挑戦

しかし今年、いよいよ走りのレベルでもBMWと同列で語り得るのではないかというモデルが登場する。現在の最高価格帯を担うCX-5/CX-8(CX-8は3列シートモデル)のさらに上級価格帯を狙う、CX-60である(3列シート版のCX-80も控えている)。

最近のマツダ車は、ロードスターを例外としてすべてFF(前輪駆動)を基本としてきたが、CX-60はFR(フロントエンジン、リア駆動)を採用したのである。メルセデスベンツとBMWは伝統的にFRを採用しており、現在でもミドルレンジ以上の車種はすべてFRである。トヨタもレクサスの最上位モデルはFRを採用している。

FRのベネフィットは操舵輪と駆動輪が別々のため操舵感に優れ、後輪を駆動するため前後の重量配分を均等にでき(FF車は駆動力を伝えるために前輪に大きな荷重をかけざるを得ない)、バランスの取れた操縦性と乗り心地を実現できる。

しかしFRはスペース効率的に不利で、コストもかかることからマスブランドで採用しているメーカーは限られる。マツダはより良い走り味を追求してあえてFRを採用したのだ。

ロードスターと同形式のサスペンション

さらにサスペンションにはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクという、高性能ではあるがコストのかかる形式を採用している。

特にフロントサスペンションにダブルウィッシュボーンを採用している車種は非常に少なく、BMWは5シリーズ以上、メルセデスベンツもCクラス以上で採用しているにすぎない。

マツダ的にはロードスターと同じ形式のサスペンションをCX-60に装備したことになる。SUVであることを考えれば過分にも思えるが、マツダの担当者によれば、それによりロードスターにも通じる軽快なハンドリングを実現したという。

シャーシだけでなく、エンジンもプレミアム感あふれるものが搭載されている。通常の4気筒ガソリンエンジン搭載車もラインアップされているが、注目は直列6気筒ディーゼルエンジンとPHEVモデルだ。